大正十五年七月二十八日、星野温泉若主人の為に草す

成功の秘訣 　　六十六翁　　内村　鑑三

一、自己に頼るべし、他人に頼るべからず。
一、本を固うすべし、然らば事業は自づから発展すべし。
一、急ぐべからず、自働車の如きも成るべく徐行すべし。
一、成功本位の米国主義に倣ふべからず。誠実本位の日本主義に則るべし。
一、濫費は罪悪なりと知るべし。
一、能く天の命に聴いて行ふべし。自から己が運命を作らんと欲すべからず。
一、雇人は兄弟と思ふべし。客人は家族として扱ふべし。
一、誠実に由りて得たる信用は最大の財産なりと知るべし。
一、清潔、整頓、堅実を主とすべし。
一、人もし全世界を得るとも其霊魂を失はば何の益あらんや。
　　人生の目的は金銭を得るに非ず。品性を完成するにあり。
以上

この文章は84年前、内村鑑三が星野温泉の若主人星野嘉助氏（当時21才）に書き渡したものである。 日本は今、他人や借金に頼りすぎた結果、政治や経済、人の心もガタガタ。
また世界は今、地球温暖化や資源の枯渇の大問題が進行中。 我々日本人は、内村鑑三の思想をもっと拡げながら「世界一の省エネ国」として生きる道を探せないだろうか。
（記 2010.09）