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私の顔写真と女性カメラマン

最近、テレビ、新聞、雑誌など私の顔の露出度が多くなった。町工場社長として会社の業績が評価され、記事となり、社名や商品の使い方を少しでも皆さんに知ってもらえることは有難い。

しかし、自分の顔を見せつけられて嬉しくなる年ではない。見せられるたびに老化している。あたりまえの話だが…。

2006年11月に朝日新聞が取材に来てくれた。露出度を多くするのも仕事のうちだ。いつものようにいろいろ話し、資料を渡し、写真を2~3枚撮った。これで終わりだと思っていたら後日、電話があり、カメラマンを連れてくるという。まあ、しょうがない。

当日はボサボサ頭でないことを確認し、少しはマシな背広で出勤した。

カメラマンは女性であり、朝日新聞の社員だった。撮られているうちに、こんなに夢中になるカメラマンは初めてだった。会社にある商品やいろいろものを見つけ出し、私にいろいろなポーズを要求した。

朝日新聞1月1日に載った私のカラー写真は、やはり老化、しみ、しわ、白髪がはっきり写っていた。朝日新聞にとって、一番良い写真を選んだのだと思うが…。

顔写真といえば、昔、子供のころ近くの代議士、小山亮氏が選挙で落ちてしまったことがある。その時のポスターの写真がひどい顔をしていた。「写真が悪かったのも落ちた理由」と本人の弁で新聞に出ていた。 その後、佐藤栄作が総理の時、実に考え深い表情の写真が選挙時に出回った。

政治家の多くは美しいとはほど遠い顔なのに、何故こんな良い写真が撮れたのだろう。後にこれを撮ったカメラマンのコメントで納得した。

「撮影にはかなり時間をかける。本人とは思い出話とかいろいろな質問や会話をする。その時、一番良い時の写真を使う」とのことで「なるほど、人物カメラマンはカメラ技術より会話術だ」と思った。

そういえば、佐藤栄作は戦後まもなく、造船疑獄で警察のお世話になった。当時はものすごく悪い顔だったと思う。

政治家という職業はいろいろな顔がある。

昔、東京駅で新幹線に乗ろうとした時、ホームで駅員たちが我々乗客を誘導していた。「失礼な!!」と思っているうちにノッシノッシと大平正芳が歩いて来た。そして次に中曽根康弘が来た。2人ともものすごい顔だ。言葉で表現出来ない。はげしい権力争いをしている時はこんな顔になるのだろう。こんな時の写真は選挙では絶対使えない。

逆に政治家の一番の良い顔は選挙で勝った時かも知れぬ。しかし勝利の一瞬は選挙では使えない。私が選挙参謀だったらポスター作り、特に顔写真に時間をかけたい。心理学者又は聞き上手の人と候補者を対談させる。そして「喜」「怒」「哀」「楽」の表情をパチパチ撮ってその時の選挙人のニーズにあった写真を使えば良いのだ。

政治家の場合、「○○したい」とか「○○するぞ!!」等のわかりやすい言葉と「本気だ!!命をかけているぞ!!」の顔写真のセットで票になると思う。

小泉さんが岡田民主党に圧勝し、小泉チルドレンがたくさん生まれたのはこの絞込みがうまかったからだ。中途半端な「口だけしか笑っていない写真」は並の選挙時によく見かける。「票をください。だから笑顔を作りました」は票にならないと思う。

今回の私の場合、次第にくたびれてきたが、くたびれた顔だけはしないようにしようと努めた。彼女はあまり話しかけたり、質問などしなかった。しかし私は逆に、こんなことを彼女に話しかけてみたかった。

「あんたの集中力はすごい。集中している顔はすごくいいよ。この「今」の写真を誰かに撮ってもらった方がいいよ」と。 私は女性がこんなに集中している姿をゆっくりながめたのは初めてである。カメラマンは意識していないだろうが、モデルの方がカメラマンをよく観察できることがわかった。1月1日の朝日新聞「人」欄の写真はこんなことを考えていた時の私の記念写真である。 <余談1>

以前、業界紙に顔写真を露出した時、「ヒゲが立派ですね」とお世辞のメールをいただいたことがあった。しかし私は一度も生やしたことがない。何故?と思い、見てみると確かにヒゲに見える。しかし、口のまわりと首まで黒ずんで見える。これは最近撮ったのではなく、私がもっと若かった数年前の写真をコピーして使った可能性が強い。これは極めて小さく、白黒なのでこれはこれでまあいいか。 <余談2>

カメラマンは女性となると、カメラレディか? なんだか変。しかし、法律では職業における男女差はいけないらしい。看護婦は看護士に、保母は保育士に。そうなるとカメラ士ということか? しかし、まてよ。○○士となると、弁護士など国の資格が必要なイメージである。カメラマンの場合は誰でも名乗れる勝手業なので、やはり女性でもカメラマンの方が良いということか。

ところでモデルになってみて「カメラマンに男女差は本質的にあるだろうか?」これは私の関心事。(記 2007.02)

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