コミーを代表する物語の中に「航空業界参入物語」がある。今日はこれを紹介したいと思う。
以下『Komy Short Story Vol.1』より一部加筆修正の上、引用する。
───はじめてのことだらけ、一歩一歩学びながら前進
「(手荷物入れの中が見えることが)私たちの10 年来の願いでした」と客室乗務員の責任者が言ってくれた。そこから航空業界への参入が始まった。
1995年11月、北海道から羽田に帰る航空機の手荷物入れを見て「こんなところにもFF ミラーがあったらいいな」と思った。
航空業界に詳しい友人の紹介で、4ヶ月後に念願が叶い、駐機している航空機の客室の現場を見せてもらうことができた。
案内してくれた客室乗務員の責任者からは「手荷物入れの中を見る作業は大変で、これが楽になることは私たちの10 年来の願いでした。しかし航空業界は手続きが大変! がんばってください」と励ましの言葉をいただいた。
手続きが大変というのは、例えば素材の耐火性、強度、安全性などの厳しい規格、基準をクリアしなければならない、ということだ。
航空業界は初めてのことばかりで何もわからなかったが、いろんな関係者からアドバイスをいただきながら、一歩ずつ問題をクリアしていった。
まず素材については、割れにくい、燃えにくい、超軽量で薄型の特殊プラスチックとすることにした。その後、燃焼性テストに合格。(財)日本化学繊維検査協会の航空機燃焼試験証明書を取得することができた。その後、エアラインの協力を得て、機内実験をなんと8回も行うこととなった。
そしてついに1997年1月、Boeing社より基準クリアのFAXが届き、同年2月に8枚初受注した。
当初、客室視認用(離着陸時にCAが客室内を確認する)として採用されたFFミラーは1999 年にJAL100 機目のジャンボ機に手荷物入れミラーとして初装備されることとなった。
同年、スカンジナビア航空にも採用された。スカンジナビア航空の本社を訪問したところ、ミラー導入の目的は「忘れ物チェック」より「爆弾(Bomb)チェック」であることを知り、驚いた。
多くの人に教えられ、支えられて航空業界に参入することができた。---
特に爆弾チェックに使われていたことは、当時全く想定していない使い方だったのでUS(※)の大切さを改めて感じた。
※US…User Satisfactionの略。使う人の満足度のこと。
今では、航空機用の手荷物入れミラーは世界140社以上のエアラインに導入されているが、全機種標準装備への道はまだまだこれからである。
次回(第25回)更新は2021年10月27日(水)を予定しています。
コミーをもっと知るにはHPをご覧ください。
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